クリスピー・クリーム・ドーナツ 相次ぐ閉店の理由は?

「行列ができるドーナツ店」として人気を集めていたクリスピー・クリーム・ドーナツが、地方都市を中心に相次いで店を閉めている。15年11月時点で全国に64店舗を展開していたが、4月以降は47店舗となる。クリスピー・クリーム・ドーナツ・ジャパン(KKDJ)の若月貴子副社長は、一連の撤退が市場から追い立てられたものではなく、「意志ある撤退」だと主張する。

閉店は今後も日本で長く事業を続けるための変革

 「閉店について、当社からはあまり説明を行ってこなかったので、ネット上では結構いろいろと書かれていましたね」と若月副社長は苦笑する。

 KKDJは、米国のクリスピー・クリーム・ドーナツと日本国内でのフランチャイズ契約を締結し、2006年12月に東京・新宿に1号店をオープン。その後、東京・大阪・名古屋をはじめ全国各地に進出した。16年末には日本上陸10周年を控えている。

 「上陸直後、期せずして大きなブームが起きて、『行列のできるドーナツ店』という枕詞がつくブランドになりました。いわば『はやり物スイーツ』というカテゴリーで成長を遂げてきたのですが、はやりはいつか終わります。20年、30年と愛されるブランドになるためには、今のうちに事業運営を抜本的に見直さなければ日本に長く残れません」と相次ぐ閉店の理由を説明する。日本でこれからも長く事業を続けるための改革であり、全面撤退が前提ではないとする。

効率的な店舗運営ノウハウを作り、来年以降は再び地方に進出したい

 日本市場で生き残るためには、経験豊かな人材でなくても効率的な店舗運営システムの確立が不可欠と判断。東京・名古屋・大阪の三大都市圏の大部分の店舗と、地方でも完全に根付いていると同社が判断した店舗のみ、存続させていく。商圏が小さく、かつ業績が同社の想定を下回る地方店舗を中心に撤退する方針を決めた。

 東京でも小商圏で地元密着型の阿佐ヶ谷店などからは撤退したほか、入居していた商業施設の改装に伴い閉店を決めたアミュプラザ博多店(福岡市博多区)のように、業績が原因ではないケースもあるという。同店がドーナツを製造し、供給していた周辺2店舗もあわせて閉店した。

 こうした事業改革により、15年11月時点で全国に64店舗(長期催事含む)展開していたが、17店舗(同)の閉店により、4月以降は47店舗となる。一連の撤退について、若月副社長は、「市場から追い出されるのではなく、自分たちで決めた意志ある撤退だと思っています」と強調する。

 

今回の撤退が事業を長期的に続けるための改革だとすれば、確かに事業運営を見直す必要があるといえるだろう。しかし、これにはライバル店のミスタードーナツが改装をするというニュースが大きく関与していると考えられる。キャンペーンやセールは一切行わず、ブランド名で勝負していくという新たな方針のミスタードーナツは、空間づくりやオープンキッチンなどコンビニドーナツに対しての戦略転換を行い始めた。

2020年に改装が全て終了する予定ではあるが、現在の価格やブランド名の浸透性からしても大いにヒットすると考えられる。

運営の見直しを行える期間は2020年まで...残り4年で新たに何ができるのか楽しみである。